イギリスから本物の煙突掃除屋さんが来られました ~Joe Gomezさんのウルルン滞在記総集編~

Joe Gomezさんからの連絡

今年の2月、ある日突然Facebookを通じて一通のメッセージが来ました。

イギリスで煙突掃除屋をやっているJoe Gomezというお方から。

イギリスの「Guild of Master Chimney Sweeps」という煙突掃除の協会で

限られた人しか与えられないマスターの商号兼、講師の資格を持っていながら

アメリカへ「Chimney Safety Institute of America」という協会の資格も取りに行ったりと

世界的に見ても珍しい海を越えて煙突掃除の技術を学びに行く煙突掃除屋さんです。

アメリカ 煙突掃除協会

そのJoeさんが次の学び先を探していたところ、ある友人からの紹介で日本の「煙筒の横山」に行くべきだと

勧めてくださり是非御社を訪問したいと連絡をくださいました。

アメリカの次に第二段として、他のドイツやイタリアなどの煙突先進国でもなく日本という未知の島国、

しかもその中でも弊社のみに絞って来て頂いけたことは大変光栄です。

 

イタリア 煙突掃除

紹介してくれたのはイタリアでお世話になったSaimoさん。本当にありがとう。

イギリスからJoeさんご夫妻来社

Joe Gomez louise gomez そば イギリス人

数カ月に渡り連絡を取り合って、5月に東京で一泊し、直ぐに奥様のLouiseさんと旭川空港に降り立ちました。

初めての日本だというのに特に他で観光することも無く旭川に6日間滞在します

早速専務の設楽英典が迎えに行ってお蕎麦をもてなしました。

日本に来ることが決まった時から毎日箸の使い方を練習してたそうで上手に食べてらっしゃいました

マクドナルドのハンバーガーでさえ箸で食べていたそうです

普段麺をすする文化は無いのですが、Joeさんのこのがっつき具合から郷に入っては郷に従え精神を感じました。

joe Gomez イギリスの煙突掃除屋 海外

翌日にはいよいよJoeさんご夫妻で来社

事務の山口佳子が作った飾り付けで盛大に歓迎しました

設楽照久 通訳 英語

先ずはそれぞれの自己紹介から始まり

通訳は私(設楽照久)が担当させて頂きました。

この日からJoeさんと自分は仕事中ずっと行動を共にすることになります

もちろん通訳の経験なんてありませんが、訳あって10年前から英語をコツコツ勉強しておりました。

joe gomez 筒師ユニホーム

早速筒師ユニホームをプレゼントし、Joeさんに着てもらいました。

煙筒の横山 バッジ シール

この日に間に合うように作ったマスコットキャラクター「タロウ」のシールやバッジもプレゼント

louise gomez dogs

Louiseさんは山口家の愛犬リリちゃんにべったり

Joeさんご夫妻は自宅でも犬を飼っていて会社のFacebookページはほとんど犬の写真というくらいの犬好きです

Louiseさんはホテルへ戻り一人で旭川近郊を観光、Joeさんは今日から5日間現場作業に同行して頂きます。

これぞ北海道の煙突文化 集合煙突

早速初日から雪の重みで倒れた集合煙突の改修工事を見学して頂きました。

集合煙突 解体 ブロック煙突

前日に解体と

集合煙突 解体 修理 足場

足場の設置を終わらせておいたのでこの日はブロックの積み上げ作業を見学して頂きます

集合煙突というもの自体が北海道から東北の一部の地域でしか見られないので、日本の伝統的な煙突の構造を理解して頂くのに

最適だと思い初日で日程を組みました。

集合煙突 修理

モルタル・コンクリートを練る作業や、材料を屋根上まで運ぶ作業などJoeさんから率先して手伝って頂きました。

Joe Gomezさん 集合煙突

イギリスの煙突掃除屋さんは基本煙突掃除のみに専念されているそうで、ストーブの設置や煙突の施工・補修などはそれぞれにエキスパートが

いて役割を分担してるそうです。

もちろんJoeさんもこんな作業は初めての経験でした。

集合煙突 修理 積み

イギリスにもレンガやブロックの煙突はありますが、土管は無くレンガのみの煙突や、土管があったとしても

その周りは空洞になっているものがほどんどだそうです。

自分達の様に隙間にコンクリートや鉄筋を入れたりしないのでその点は関心してました。

ただ1つの煙突につき1つのストーブしか使ってはいけないという決まりがあり、

集合煙突の様に1階と2階でそれぞれのストーブを1つの煙突に繋いで使うことは禁止されています。

これはヨーロッパは暖炉文化だったことから2階で換気扇などを使用した時に

1階の煙が2階で逆流してくる事故が多かったことからだと思います。

日本では暖炉の様に解放されてないことや、煙突の構造や太さ、

一般家庭では1階が基本的に居住部屋なので2階で換気扇を使うことがそこまでなかったことなどから

そこまでの事故になりづらかったのかと思います。

(それでも起こり得るので注意は必要です)

 

集合煙突 修理 Joe Gomez

完成した煙突をバックに記念撮影

これから掃除して足場を解体し撤収するのですが、この工程を1日でやることに驚かれてました。

集合煙突 雪割り 修理 施工

後日、社長横山自ら雪割りの増築

集合煙突 板金

また別日に板金を巻いて完成です

今回は板金こそ外注でしたが、足場作業・煙突解体・修理・雪割りの増築の大工仕事まで一社で完結してることに

一番驚かれてました。

「でもここまでやるのは日本でも普通じゃないというか、うちしかいないですよ(笑)」とは伝えておきました。

ペチカ掃除・煙突掃除 日本とイギリスの違い

Joe Gomez 横山愛慈 通訳 設楽照久

翌日、出張から帰って来た社長の横山愛慈とJoeさんとの対面。

昔から世界にはこの煙突掃除という仕事を誇りに思って仕事してる同志がいると言っていた横山も

実はこれが海外の煙突掃除屋さんとの初対面になります

毎年9月にイタリアで行われる煙突掃除人集会という

世界中の煙突掃除屋さんが一堂に会するイベントがあるのですが、2人ともその時期は忙し過ぎて

参加したことが無いという生粋の仕事人同士の出会いでした。chimney sweep tools japan

イギリス製の道具で電動ドライバーの先にナイロンやワイヤーなどを付けて掃除する便利な道具があり、

私たちも7年程前から愛用しております。

業界では煙突掃除革命と呼ばれる程の便利な道具が出る前は

煙突掃除の道具は全て横山が手作りしていました

今も現役で使用してるものもありますが、その道具一式をJoeさんに見て頂きました。

その中にはJoeさんも欲しいというものが何点かあり、一から一人で作り上げてきたことに大変関心されてました。

Pechka japan ペチカ掃除

Joeさん待望の煙突掃除1件目は雨竜町のペチカでした

ペチカというもの自体初めて見たというJoeさんですが、ペチカは元々ロシアから来た暖房文化で

日本では北海道でしか見られない特殊な暖房設備です。

ストーブの排熱を最大限生かす為にわざと煙がジグザグに進むようになってます。

その為、特に薪で使用した場合はタールがこびり付くケースが多く、Joeさんからしたら

かなり興味深い現場だったことでしょう。

こちらの現場では煙突掃除をする為梯子をかけて屋根上から掃除しましたが、

イギリスでは屋根上から掃除することはほとんど無いそうです。

一応梯子も持ち運んでますが、梯子作業をするのにも資格がいるのだとか。

下から煙突掃除

こんな具合に基本的に灰出し口やストーブから掃除が出来る様に施工されている為、Joeさんは一人で

一日5~7件ほど煙突掃除をして回るとのこと。(私達は1班で最大4件)

また、Joeさんの住んでるEssexという地域周辺だけでも100人以上の煙突掃除屋さんがいるそうです。

Joeさんの様に自営業が多く、1年に1回煙突掃除をしないで火災になった場合は保険が下りないので

掃除した後には証明書を発行するそうです。

因みにその証明書も請求書や領収書も全てSMMでお客様に送信するので完全なペーパーレス。

スマホ一つで料金の精算、伺ったその日に来年のスケジュール組みをして、お客様宅の情報も

独自のアプリを駆使して管理されてます。

そのあたりは流石先進国だなと脱帽しました。

煙突掃除 ストーブから掃除 Joe Gomez

私達もストーブから掃除することもありますが、

笠に網が付いてたり点検が必要な場合があるので屋根上に上がることの方が多いです。

基本的に掃除機は外で使用したり、吹き出さない様にテープで念入りに養生したりと

Joeさん曰く丁寧さは自分達の方が遥かにしっかりしてるとのこと。

そもそも靴を脱いでお客様宅に入る時点で聖域に足を踏み入れる感覚があるのではないかと思います。

掃除してる最中、Joeさんは厳しい目で後ろから見守っていました。

普段、協会では講師として審査する立場でもあるJoeさんですが、経験年数1年の若手筒師

奥山澪、永岡由暉の掃除を見て自分が講師だったらマスクさえしてれば合格だと言っていました。

(ついつい外してしまいますが大事なことですね

Guild of Master Chimney Sweepsという団体は煙突掃除屋の更なる技術の向上を目的として作られた

協会で、会員になる為には最低4日間の講習が必要で実際の顧客の掃除を見学し、実技試験と筆記試験

に合格する必要があります。

更にその上のマスター制度に合格する為には、協会が指定するいくつかの講習を受け実践的な実技講習が

必要になります。

日本ではその様な煙突掃除の協会は無く、地域の薪ストーブ屋さんか便利屋さんなどがやってい

専門的な知識や技術に乏しいのが現状です。

Joeさんの体験(番外編)

バレルサウナ基礎工事

煙突掃除以外にも様々な仕事をする筒師ですが、この仕事はJoeさんは思ってもみなかったはずです。

バレルサウナの設置作業。

最終日に別班がバレルサウナを設置する為の基礎工事をやっていたので合流しました。

その為に先ずは穴を掘る作業を手伝いましたが、Joeさんもまさか日本に来て穴を掘ることになるとは思ってなかったと

笑っていました

Joe gomez sharpening

するとスコップの刺さりが悪いとのことで刃先を研いでくれました。

とにもかくにもJoeさんの奥さんはご自宅で刃物を研ぐ会社を経営してまして、Joeさんは煙突掃除が終わると

奥さんの仕事を手伝うのだとか。

仕事が終わって夜ご飯にありつけるのが9時頃、しかも普段はランチを取らずにぶっ通しで仕事をしております。

更に土日はスーパーマーケットに行って出張で研屋の仕事をされているので休みというものが基本無いとのこと。

日本人以上に働きものでびっくりしました・・・。

けして生活が苦しいわけでは無く、たまに長期で休みを取って今回の様に海外に行ったりする生活

が好きだとのこと。(因みにJoeさんの愛車はベンツです)

oegomez chimney sweep

そんなJoeさんもこちらでは毎日お店にお昼を食べにいきました。

スープカレーやラーメンなど、どれも美味しいと言って頂けましたが

Joe Gomez 鯖の味噌煮

なにが一番おいしかったかと聞いたらまさかの定食屋さんで食べた鯖の味噌煮でした

イギリス人 紅茶

時間に余裕がある時は紅茶を飲みに行ったり

イギリス人 焼肉

夜はご夫婦とプライベートで焼肉に行ったり美瑛 イギリス人

最終日は現場チーム全員でお昼を食べたりと楽しい時間を共有することが出来ました。

そして食事の代金のほとんどはJoeさんが是非払わせて欲しいとのことで

その心意気に何度か甘えさせて頂きました。

Joeさんご夫妻のウェルカムパーティとお別れ

e Gomez chimneysweep

短い期間の見学になりますが、Joeさんご夫妻の為に歓迎会を行いました。

忠和で日本らしいおもてなしが出来ると言えばお城の鯉寿司さん。

建物もお部屋も料理も素晴らしいと大変気に入っていただけました。

louise gomez japan

Louiseさんは山口佳子とスマホの翻訳機を駆使してすっかり仲良くなりました

最近の翻訳機の精度の高さには驚かされるほど進歩してます

因みにLuiseさんのお気に入りの日本食はいかの塩辛でした

ご夫婦揃って意外なものをお気に召されます(笑)

joe gomez japan 海外の煙突掃除屋

最後に松の絵をバックに記念撮影

本当に素晴らしい宴会場が近くにあって助かります

メロディー スナック

二次会は筒師行きつけのスナックメロディーさんへ

イギリスにはカラオケという文化がそこまで浸透してない為、ご夫婦でのカラオケも初めてとのことでした。

ック メロディー 旭川

お二人にとってとてもいい思い出になったかと思います

「Chim Chim Cher-ee」(チムチムチェリー)という歌をご存じでしょうか?

原作者がイギリス人でロンドンが舞台となった「メリーポピンズ」という映画の主題歌で、

後に「ウォルト・ディズニーの約束」というウォルト・ディズニーが

世界で初めて実写とアニメの融合の映画を作るという話自体も映画になったという

有名な歌があります。

作中には煙突掃除屋さんが登場し、屋根の上で踊りながら煙突掃除が如何に素晴らしいかを歌ってます。

世界中の煙突掃除屋で知らない人はいないくらい、煙突掃除といえばこれ。みたいな歌です。

r-ee チムチムチェリー

その歌を本物のイギリスの煙突掃除屋さんと一緒に歌わせて頂くことが出来たことは

本当に光栄でした。

その歌詞の一部から抜粋します

 

君は思うかもしれない
煙突掃除なんて最下層の仕事だって

いつも灰と煙まみれだけど
この世界でこんなに幸せな奴はいない

 

この歌詞の通り煙突掃除という仕事は最下層の仕事とみなされていました

それは日本も例外では無く,横山はその現状を変える為に日本一の煙突掃除屋になって

若い人の憧れる様な仕事にするという目標に向かって邁進してきました。

そして職人が誇りをもって働く良い手本がヨーロッパの煙突掃除屋さんでした

老若男女問わず黒いユニホームに身を包み、シルクハットを被って見ただけで煙突掃除屋と

分かるデザインのかっこいい車に乗り、活き活きと仕事をしてます。

イギリスにはなんと女性だけの煙突掃除屋チームもあります

美瑛 煙突掃除

最終日、お別れの前にJoeさんと2人きりで美瑛の景色の良いスポットを巡りつつ

横山の煙突掃除に対する思いや、どれだけこの日を待ち望んでいたかを伝えました。

joe gomez japan chimney sweep

Joeさんが行きたいと行っていた神社にも。

Joeさんがところで何故自分が英語をそんなに喋れるのかと聞いてきました

10年程前、この仕事に入ると決めた時、昔から横山の煙突掃除に対する思いを聞いていた自分は

いつか海外の煙突掃除屋さんに会う日が必ず来るだろう思い英語を勉強し始めました。

もちろん通訳としてはまだまだですが、そのお陰で最高の時間を過ごせたかと思います。

なので何故かと聞かれた答えとしてはこの時の為だと伝えました。

Joe Gomez yokoyama chimney sweep japan

今回は私達もJoeさんから学ぶことが沢山ありました。

知識や技術はもちろんのこと、57歳にして海外に学びに行くほどの向上心は見習うべきものがあります。

最後はウルルン滞在記ばりに一人一人握手とハグでお別れしました

Joeさん、日本を選んでくれて、煙筒の横山に来てくれて、横山に会いに来てくれて本当にありがとうございました。

Joeさんが現役のうちに必ずイギリスに煙突掃除を学びに行きます

cheers Mate

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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