旭川市旭山動物園にペレットストーブ3台設置~ゼロカーボンZOOへの挑戦~
園内の木をペレットに活用 本質的なゼロカーボンを目指す旭山動物園
11月11日の冬期営業を皮切りに旭山動物園で3台のペレットストーブが稼働し始めました。
場所は「いこいの広場休憩所」・「東門エントランス」・「イベントホール」の計3カ所に1台ずつ。
燃料として使用するペレットの原料はなんと園内で伐採した剪定木や枝を活用し市内の工場で製造。
今後は独自で栽培した巨大ススキ「ジャイアントミスカンサス」という植物も燃料に取り入れる予定です。
旭川市としても「ゼロカーボンシティ旭川」を表明しており、
2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることを目標に掲げています。
今回の取り組みもその目標のモデルとして注目されており「ゼロカーボンZOO」と称し、地元の木材を地元でペレットに加工し地元で消費するという「地産地消」を体現。
本当の意味での「循環型エネルギーサイクル」を構築しております。
品質に左右されない多種多様な3台のペレットストーブ
そもそもなぜ今回の設置に至ったかというと2年前のあるイベントでペレットストーブを燃焼展示していたところ、坂東園長の目に留まり大変興味持っていただき「是非、動物園に設置したい」と言って頂けたのが始まりでした。
ただその際に「どうせだったら旭川で作ったペレットじゃないと意味がない」と仰っていたことを今でも鮮明に覚えています。
それから翌年の弊社で開催した展示会に視察に来て頂き、旭山動物園で独自に作ったペレットを実際に燃焼してみせ今回の設置に至りました。
製品として販売してるペレットではない為、品質が安定しないペレットでも燃焼出来るストーブであることが絶対条件でしたが3台とも2日間うまく燃焼することが出来ました。
それでは、園内に設置したペレットストーブをご紹介致します。
①無電源ペレットストーブ ‐LAMINOX IDORO‐ ”FIORELLO”
先ずは「いこいの広場休憩所」に設置したのが無電源ペレットストーブの”FIORELLO”(フィオレッロ)
全く電気を使用しないということからより環境にやさしく、停電などの非常時でも暖をとれるというのが動物園のコンセプトにぴったり適うストーブです。
正門から入って売店がある通りを歩くと左側に煙突が目印の休憩所があるので
見かけた際は是非お立ち寄りください。
こちらのストーブは電気を使わずともペレットを完全燃焼出来る様に燃焼ポットが通常より隙間が広く設計されてるので、品質の悪いペレットだったとしてもポットが詰まるということが起こりにくい構造になっております。
ほとんどのペレットストーブは燃料の品質に燃焼が大きく左右されるので、その点から見ても打ってつけのストーブ選びだったと思われます。
②移動式無電源ペレットストーブ ‐LAMINOX IDORO‐ ”HOTSPOT13”
次に「東門エントランス」に設置したのが移動式の無電源ペレットストーブHOTSPOT13
基本の配置はこちらになりますが、”移動式”なのでローラーで自由な場所に配置することが可能なので
日によっては位置が変わるかもしれません。
フィオレッロと同じく電気を使用せず、煙突がストーブと一体となっておりその上に円盤の様な
笠が付いてるのが目印です。
ヨーロッパの方ではパティオヒーターと呼ばれる野外用のストーブがテラス席にずらっと並ぶ光景が一般的ですが、
そのほとんどがガスで燃料がペレットというのは世界的に見ても珍しいストーブであります。
③アグリペレット対応ペレットストーブ ‐CS Thermos‐ ”Thelma 90”
今回のお話を伺ってからこのストーブこそ最も相応しいのではないかと、道内でも初設置となるアグリペレット専用のペレットストーブ”Thelma 90“(テルマ90)を設置させて頂きました。
アグリペレットとは木質以外の農業廃棄物(オリーブの種やトウモロコシ、ナッツやアーモンドなど)を安価に燃料に出来ないかとヨーロッパで研究が進められペレットにしたもので、通常のペレットストーブではあまりにも灰が多いなどのトラブルで実用には至らなかったところ、こちらのストーブのメーカーである‐CS thermos‐が独自の技術でこの問題を解決しました。
構造的には燃焼ポットが定期的に回転して付着した煤をこそぎ落とす仕組みになっておりまして、
燃料に応じて回転する時間の感覚や、ペレットの落ちる量などが細かく設定出来る様になっており多種多様なペレットに対応可能となっております。
点火ヒーターも2つ搭載されており、多少乾燥の悪いペレットでも着火失敗しにくいです。
ジャイアントミスカンサスなど木質以外の材を利用したいと話を聞いていたので、こちらのストーブを提案させて頂きました。
設置した場所はカバ館の上に位置する「イベントホール」
コンクリートの穴開けから始まり
煤が多く出ることを想定して本来より太い120Φの配管で施工しました。
「伝えるのは命」坂東園長の地球温暖化防止への挑戦
旭山動物園・坂東園長のエッセー集から
~「かわいい」「かわいそう」だけでは共に生きられない。~
との言葉から、一貫して全ては地球全体の動物の命を
真剣に考えているからこその取り組みだと感じてます。
水中を翔ぶように泳ぐペンギン、高所を綱渡りで移動するオランウータンといった動物の本来の動きを見れる「行動展示」で大人気となった旭山動物園ですが、ただ単に入園者数を増やすことだけを考えていたとしたら今回の取り組みの発想には至らなかったはず。
旭山動物園でも飼育しているホッキョクグマやペンギン、シマフクロウやアムールトラなどは絶滅危惧種に指定されています。
その原因の一端となっているのが「地球温暖化」であり、CO2を削減する為には何が出来るかと本気で考えた結果が今回の挑戦の根本ではないかと思います。
「地球温暖化に”無関心”な人はいても、”無関係”な人は一人もいない」
もちろん動物たちも同じです。
なぜだか最近迷惑行為をする”自称環境活動家”と名乗る人をネットで良く目にするせいか、本当に環境のことを考え行動する人が陽の目をみないどころか同じ様に
誹謗中傷の的になったりするのを残念に思います。
そんな中、坂東園長の様に決して周りに流されず本質的に物事を考え「行動」できる人がもっと評価される世の中になればいいですね。
各ストーブの横に置かれたパネルにはなぜ木質ペレットが環境にいいのかという説明からペレットが出来上がるまでの工程を
お子さんでも読める様にふりがなをふって分かりやすく説明しています。
最後の文章「みなさんも、持続可能な未来に向けてできることから初めてみませんか?」
とのメッセージから、少しでも多くの人に地球環境について考え「行動」に移して欲しいという気持ちが込められています。
チーム横山は旭山動物園の挑戦を全力で応援します!