チムニーファンで広がる薪ストーブ・暖炉の可能性
様々な環境で不可能を可能にするチムニーファン
薪ストーブは現代の高気密住宅で使用するには様々なハードルがあります。
24時間換気が義務付けられている日本の住宅。
その上冬でもあったかい住宅=気密性がある家という認識がある為、給気口の数はなるべく最小限にする
のが常識となってますが、薪ストーブや特に開放的な暖炉にとっては非常に扱いにくい環境になります。
一つの空間の中で強制的に排気しようとする力がある中で給気が少ないと、煙突のドラフトの力がその力に負けてしまい
薪に火を点けた瞬間から家中煙でもくもくになってしまいます。
薪ストーブの場合は煙突を適切な高さまで立ち上げて外気導入を設けたりもしますが、それで万事OKではありません。
家の中が負圧になってる場合はそれでも逆流するので給気口が各部屋にあるのが望ましいです。
ただ状況によってはどうしても給気口を増やしたくない、建物の都合で煙突の高さが十分に取れないなど、
暖炉の使用に至っては換気が回ってなくとも気密の高い家ではどうしても煙が逆流するなどの状況に
見舞われるのでその様な場合はチムニーファンで解決できます。
暖炉の逆流をチムニーファンで解決 in 札幌市
以前からご自宅で暖炉を使用してたお客様からどうしても煙が逆流するので
煙突にファンを付けれないかと依頼がありました。
24時間換気を止めてもこれだけ開放してれば逆流を起こしてしまうそうです。
チムニーファンを付ける為に先ずこの笠を取り外す必要があるのですが、
これがとにかく曲者でした。
見た目じゃ想像つかないかもしれませんが、角型の鉄管とうよりも
一本一本空洞が無いこの鉄の塊は推定100kgはありました。
これを足場の階段を利用して地上まで降ろさなければいけないのですが、
少しでも軽くする為一本ずつ切断します。
消費したサンダーの刃は15枚
土管が低かったので継ぎ足してファンの性能を最大限にします。
途中まで電気屋さんが配線してくれた電線と接続して(一応、第2種電気工事士の資格は持ってます)
完成です。
今回使用したのはイタリア製GAMI社のチムニーファン「ASPIRATORE」
ファンが大きいので最大で70Pa(パスカル)と強力で、つまみで簡単に強弱の調節ができます。
これで暖炉でも家中煙だらけにならずに確実に薪を燃焼させることが出来ます。
断熱煙突にチムニーファン in 旭川市
こちらでは薪ストーブのドアを開けて暖炉の様に焚きたいという珍しいご要望を
叶える為に既存の断熱煙突にチムニーファンを取り付けました。
Aduro社の 「Aduro Optimizer」を使用。
ヨーロッパだと回しっぱなしが当たり前だそうですが、使用しない間はスイッチを切るのを
想定して雪が上に積もらない様に笠は自社製作です。
こちらは電気配線も自社完結し、
薪ストーブをバーモントキャスティングス社の「デファイアント」に入れ替えて
夢のドア開け焚きを可能にしました。
チムニーファンは長野県のエコレットカンパニー様が海外から選りすぐりの品物を
取り寄せて頂いております。
従来のものより遥かに安価で軽量でコンパクトだった為、今まで出来なかった
施工が可能になりました。
本来なら自然ドラフトで焚けるのが一番いいのですが、
夢だった薪ストーブや暖炉の使用を建築や予算の都合上諦めなければならないお宅は結構多いです。
その方々の夢をカタチに出来るのであればチムニーファンの使用も
悪くないなと、火を点けた時のお客様の笑顔を見た時に思うのでした。