「石油、灯油ストーブの煙突掃除は必要無い?」
北海道の煙突式石油ストーブ
従来の北海道の住宅にはブロックや煉瓦で積み上げた集合煙突が数多くあり、
そこに煙突式の石油ストーブを繋げて使用しているご家庭が今でも多く存在します。
その様な御宅の煙突掃除にお伺いした時にたまにこう言われることがあります。
「石油ストーブは煙突掃除しなくていいって聞いたんだけど本当?」
どこからその様な話を聞いたのか、ちょっと恐ろしい話だと思います。
そのおかげで何十年も掃除をしないでいた結果が上下の写真の状態です
これが正真正銘、灯油ストーブの煤です。
確かに薪ストーブの様に1年に1回も掃除する必要はないですが、微量ながら煤は確実に溜まっていきます。
そして煙突に煤が付着してくると煤が溜まるスピードは更に加速していきます。
コリオリの法則
それもそのはず、煙は必ず回転しながら上昇します。
それもコリオリの法則といって、台風の目が上から見て反時計回りに回転するのと同じで煙突の出口に向かって
必ず時計回りに回転しながら上昇します。
因みにここ日本の北半球ではそうですが、南半球は逆に廻ります。
廻りながら進むということはそこに煤がぼこぼこ付着してると抵抗になって尚更詰まるという訳です。
ペチカの掃除ももちろん必要です
こちらは灯油ストーブを使用したペチカの内部です。
灰出しからは驚くほど大量の煤が出てきました
45ℓの袋が5袋と半分ほど・・・こちらの現場は稀な例ですが、
灯油ストーブが不完全燃焼を引き起こすとこうなってしまうくらい
みるみる煤が蓄積します。
灯油ストーブの煙突掃除は最低でも5年に一回が目安です
「石油ストーブは煙突掃除しなくていいって聞いたんだけど本当?」
ここまでご覧になった方はお分かりいただけたはずですが、
答えはもちろんNOです。
どんなに最先端のストーブを使用して、どんなにいい燃料を使用しても
炭素=煤は必ず出ます。
もちろんストーブや環境によって煤の溜まり具合に違いはありますが、安心してストーブを使用出来る目安としては
最低でも5年に1度の煙突掃除は必要です。
因みに設備屋さんによるストーブの分解掃除は2~3年に一回が目安とされています。
FF式のストーブも同様です。
「石油ストーブは煙突掃除しなくても大丈夫」と言った方はご自宅で何十年も掃除しなくても使えてたからそのように言ったのでしょう。
ただ煤で詰まって使えなくなってからでは遅いのです。
煤が溜まって恐いのは一つは煙道火災。
実験で灯油ストーブの煤をバーナーで炙ると火が点きました。
もし煙突の中に火が入ると煤を伝って煙突の出口から炎が噴き出すほど燃え広がります。
煙突内部は1000℃以上にもになるので住宅に火が移って火事になる可能性が高いです。
もう一つ恐いのは一酸化炭素中毒です。
煙突からスムーズに排気されなくなるとストーブが不完全燃焼になり、不完全燃焼すると一酸化炭素が出ます。
それが室内に充満すると一酸化炭素は無味無臭の為、気付かないうちに頭痛がして最悪の場合死に至ります。
石油ストーブの場合、薪ストーブよりも煙突に火が入る可能性は低いので、
どちらかと言えば一酸化炭素中毒の方が事故の可能性は高いと思われます。
ただそうなる前にストーブの燃えが悪かったり、ガラスが白く曇ったりする前兆はあるので
気を付けてストーブの燃え方を観察するのも大事です。
少しでも不安に感じたら気兼ねなくご連絡ください
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